信念と物事の達成/이태원 클라쓰(梨泰院クラス)感想
あらすじ
大都市ソウルの中でもひと際ホットな街で、小さな飲み屋を開店させた前科者の青年とその仲間たち。成功をつかむため、大物相手に無謀ともいえる戦いを仕掛ける。
出演:パク・ソジュン、キム・ダミ
原作、脚本:キム・ソンユン、チョ・ガンジン
評価
ストーリー ★3
映像 ★5
土下座★5
感想
・Netflixのアカウントを借りている友人のお勧めだったので見ました。あと、韓国でめちゃくちゃ流行っているようでいろんなアイドルが真似していたので興味を持った。(軽率)
・もともとはウェブ漫画のようで、日本語訳されたタイトルは「六本木クラス」だったので、梨泰院という土地のイメージがなんとなくついた。要するに昔でいうヒルズ族的な特権意識のある地名なんだね。今だとちょっと古いけど...。あんまりお酒が好きではないので、飲み屋街的な要素には惹かれないけどアーティスティックな街という印象も持ったので一度は行ってみたい。(とはいえ当分は旅行に行けなさそうでものすごく落胆している。GWは韓国旅行の予定だった。)
ウェブ漫画からの実写だと「キム秘書はいったいなぜ?」(本作と同じくパク・ソジュン主演)とか少し前だと「チーズインザトラップ」とかがあったな。どちらも漫画から知った。
ピッコマで漫画を読んでるんだけど、韓国の翻訳ものも結構あって、どれも絵がとてもうまいしおもしろい。そんなに詳しくないんだけど恋愛ものが多くて、日本でいうジャンプ的な少年向けのものは少ない印象。
・話の骨子は復讐なんだけど、主人公セロイがとても健全で明快に進んでいく。敵であるチャン会長との腹の探り合いはホモソーシャル間の一種の密接なコミュニケーションである。バクマン。における主人公とライバルの心理描写を思い出した。(作品批評に他作品持ち込むのは野暮だとは思うけど・・・)そこの掛け合いが受けたのかなあと思った。
・「今この時代でヒットさせよう」という強い意志を感じた。しかし、社会派というには少し物足りない。尺の問題かなとは思う。この特殊な時期だからこそ流行ったというのは絶対に否めない。
・漫画原作だけあってキャラクターの一貫性が良い。
成功とは情熱だけでは達成できないし、分析だけでも然り。セロイという一流の情熱を持つ人間とイソという一流の分析家の出会いの物語だったんだな。(チャン会長との対決が主軸に感じる人もいると思う)
・チャン会長はすごくいいキャラクターだった。あの人の底知れなさへの不安が作品を通して下敷きになっていて、緊張感があった。家族を失った経験から長家を作ったというわりに、グンウォンをばっさり切り捨てたのはよくわからんかったが...。土下座おじさんとしていつも心をざわざわさせてくれた。
・ずっと長家辞めたかった。入社してないのに...。友達はパンダムの初期メンバー夢主になっていた。
・ヒョニがすごく好きなキャラクターだったけど、トランスジェンダー(特に韓国の)について造詣がないのでもうちょっと知ってから語りたい。演じたイ・ジュヨンが良かった。「恋のゴールドメダル」に出てたこと全然気づかなかった...。
・信念って不思議なもので、それがなくては物事が成し遂げられないのと同時にその信念こそが物事の達成を妨げることがあって我々はその葛藤から逃れられないんだな...、というのを実感した。それが生きることのおもしろさだし、難しさ。
・音楽がよかった。特にメインテーマは筋トレとかする時に聞くとエクスタシー感じると思う。
好きだったセリフ
「私が私であることに他人の理解は不要です」
総括
私は物語に没入するというより俯瞰見られているときに「おもしろい」と感じるらしい。(前者の場合、話の道筋が整理できないままのめりこんでることが多く「おもしろい」と思っていることすら客観視できてないことが多い。でもずっぷりハマっている状態は前者のほうが多い)そういう意味では本作はすっきりと整理されていて、気持ちがいい作品だった。
すっと理解できる作品とそうでない作品って誰しもあると思うんだけど、理解できる=おもしろい作品ではないのが面白いなって思う。(あと見てるときの環境とか体調にもよると思ってる)
「巣ごもり期間」と言われるこの特殊な状況(そしてもしかしたらこのさきずっと付き合っていかなくてはいけないかもしれない時間)でネット上での流行りというものが従来とは全く変わってくるのだろうなと思った。
中盤が特に面白かったです。